甘い恋飯は残業後に
「二日間も業務外のことで万椰さんをこき使った挙句、昼食も取らせないなんて。部長とはいえいくらなんでも酷過ぎますよ!」
いつもなら、水上ちゃんに乗っかって愚痴のひとつぐらい零すところだけど……。
「……難波さんも食べてないから、文句言えないしね」
終始助けられっぱなしだった今日は、特に。
それに、ゆうべのこともある。ただ不満を言っただけのようなこちらの言い分をあっさり受け入れてくれて、その交換条件が今日のヘルプ業務だったのだから、どういう状況であれ文句は言えない。
「そういえば、なーんか変なんですよね、今回のこと」
「……何が?」
コポコポとコーヒーメーカーが音を立て始めたと同時に、水上ちゃんはこちらへ向き直った。
「ヘルプ要請の連絡は、確かに二課にいったらしいんですよ。でもそれを難波さんに報告したら『俺が行く』って、結構重要な仕事の予定もあったのに、全部キャンセルして自分が行くことにしたらしいんですよね」
「難波さんは『Caro』の仕事に慣れてるから、じゃない? 本人もそう言ってたし」
水上ちゃんは腕組みをして首をかしげ「うーん」と唸っている。
「二課の人の話だと、ヘルプに行こうとしていたのは『Caro一号店』の初代店長と、以前出向していた社員だったみたいなんですよね。慣れているから、という理由なら、そのふたりの方が適任だと思うんですけど……」