甘い恋飯は残業後に


「朝から楽しげだね」

その声に振り向けば、大貫 到(おおぬき いたる)課長が、爽やかな笑顔をこちらに向けていた。


「あ、大貫課長、おはようございます」

180センチ程ありそうな高身長に、細身の濃紺のスーツがよく似合っている。褒め上手の水上ちゃんが、早速、課長のネクタイのセンスを褒めている。本人はスマートにお礼を返したつもりだろうけど、照れているのがバレバレだ。

でも、こういうところが、この人のカワイイところだったりするんだけど。


彼は課長と言ってもまだ三十五歳と、世の中の課長職に就いている人よりもかなり若い。歳も感覚もわたしと近いせいか、ありがたいことに話せる上司だ。



ここに異動出来て、本当に良かった。

今は心からそう思っている。


仕事にやりがいもあるし、社員同士も仲がいい。以前の職場に比べたら、何倍も働きやすい。


一年前、ここに異動したいと希望を出した時は、新規事業に興味があった訳でも、仕事に燃えていた訳でもなかったのだけど……。


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