ツンデレくんを求めてみます。
「…………話が、あって」

「うん、いいよ」


中出は裾を掴んだまま離さなかった。


「…………怒らん?」

「あたし、わけもなく怒らないよ」


中出は軽く頷いた。


「一昨日、前の好きな人と会った」

「は?」


あたしは思わず中出の顔をまじまじと見つめてしまった。頬がわずかに紅潮している。


…………まじ?


「中出、好きな人いたんだ」

「俺やって男やぞ。奈子さんほどではないけど少しはいたわ」

「あたしを引き合いに出すなよ」


あたしは元来惚れっぽい。大学に入ってから中出を好きになるまでのわずか1年足らずで4人もの男を好きになったくらいだ。


中出には詳しくは教えていないけど、だいたいのことは知っているはずだ。


「高校3年間好きやった。告白なんてできずに終わったけど」


だろうなと思った。


こいつのへたれは自覚している。


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