適当魔法少女・りおん

「りおんっち、おっはーっ――」


「おはようございます、りおんさん――またクラスが同じですね――よろしくお願いします――」


「あっ、わたしもりおんっちとクラス同じだから、よろーっ――」


「あっ、うん――よろしくね――」


ステッキさんは、自らファスナーを閉め、鞄の中に隠れる――。


りおんは、二人のクラスメイトと会話を交わしつつ、時折後ろを振り返り、「妄想」の存在を信じ、確認しながら、緩やかな上り坂の先にある校門を目指す――。


しかし、「妄想」は「妄想」でしかない――魔法少女という、「非現実」を体現しているりおんでさえ、「現実」の前では平凡であり、そんなものだ――。


「はぁ――」





1年3組――あいうえお順に指定された席に座るりおん――。


馴染みの友人、よくある外観の校舎――魔法少女という「スパイス」――。


ちょっぴり「刺激的」な、中学生りおんの3年間が始まる――。





ホームルーム――。


りおんの鼓動は、再び速度を増す――。


希望の種は、絶望の中で強かに育ち、芽吹こうとしている――。


隣が、空席だ――。

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