薬指の約束は社内秘で
「よく来てくれたな」

あまりにも柔らかい瞳で見つめられてトクンッと鼓動が反応する。

「いぇ」とか。「暇だったんで」だとか。
もにょもにょと口をまごつかせる私に、葛城さんは「行こうか」と優しく声をかけてくれる。

毛並みの柔らかな絨毯の上を彼のエスコートで歩き、綺麗な装飾が施された高速エレベーターにふたりで乗り込む。
静かに上昇していくエレベーターには、私達の他に北欧系の1組の男女が腕を組み寄り添うように乗り合わせていた。

そっと耳元で囁き合うふたり。

言葉は分からないけど、愛を囁き合ってるのは雰囲気でなんとなく分かった。

そんな姿を前にすると、意味もなく頬が熱くなってしまう。
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