薬指の約束は社内秘で
予想外の言葉に身動きが取れない私を斜め上から覗き込んだ葛城さんは、艶っぽく瞳を細めてこう続けた。

「来てくれて、本当に助かった」




いまさらですが、葛城さんのお名前は優生(ユウセイ)名付けられたらしい。

『人に優しく生きてほしい』

きっと彼は、そんな両親の願いを完全無視した人生を送ってきたに違いない。
大袈裟ではなく。いま、心から、そう思う。


英会話教室に夜な夜な通って少しだけついた自信を粉々に砕く流暢な英語が、斜め上から脳天に直撃する。
通りかかる人の足を止め、思わず惹きつけてしまう圧倒的なオーラは、そんな彼の英会話力なのか。

それとも、生まれ持った端正な顔立ちのせいか。そんなモン、心底、どーでもいいと。

いま、心から、そう思う。(強調したいから2回続けてみましたよ)
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