薬指の約束は社内秘で
きらびやかなシャンデリアと高級感のあるオブジェが飾られている会場には、ドレスアップした男女が小さな輪を作り談笑している。

私の隣で嫌みなほど完璧な英語を披露した葛城さんの前にも、金髪をオールバックにセットした欧米系の男性が外国人によくありがちなオーバーアクションで、時折笑い声をあげていた。

葛城さんってば。社内ではあんなに不愛想オーラ炸裂のくせに、今日は冗談まで入れ混ぜちゃってさ。
ずいぶんサービス精神旺盛ですこと!

「ほほほーっ」と、にこやかに笑って、半分くらいしか聞き取れない英会話を完璧に分かるフリをする。
そして絶やさない笑顔の裏で「欧米か!」と、ツッコんでやった。


私が葛城さんに呼ばれた理由は、すぐに分かった。

いまこの会場では、葛城さんのドイツ支社時代の同僚の結婚パーティーが執り行われている。
すでに親しい身内だけで挙式を済ませているらしく、お披露目という名の軽い立食パーティーらしいけど。
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