薬指の約束は社内秘で
せっかくの楽しい楽しい休日なのにね。見ず知らずの人から恨みまで買ってさ。なんて、可哀そうなんだろう、私!

心で泣いてスッと私から体を離した隣の男を睨みつけると、こんな開き直り万歳の言葉を返された。

「なんだよ、その顔。仕方ないだろ」

「仕方が、ない?」

ほおぉー。そうきましたか?

いまできる一番嫌みな笑顔を浮かべてやると、私から視線を流した葛城さんはボソッと呟いた。

「こういった場所に来ると、知らない女が寄ってくる」

「へえぇー」

だから、ナニ? ソレ、自慢?

嫌みたっぷりな笑顔に、ため息を付け加えてやる。

「今日は取引先の人間も来てるからな。不愛想な態度は取れない。だから、俺のそばから離れるなよ?」

ははっ。無愛想って自覚ありですか。そうですか。

つまりいまの私は、葛城さんに群がる女性を遠ざける為に、ここに存在するってわけ。
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