薬指の約束は社内秘で
吐息が触れるほどの距離から見つめ合って。自然と引き寄せられるように、また触れ合う。

何も入り込む隙間がないほど抱き締め合い、深みを増していくキスに酔いしれていると、長い触れ合いに終止符を打つノック音が響いた。


「――失礼します。こちらに葛城様は、いらっしゃいますでしょうか?」

少し焦りを感じる低い声が合図となり、幸せの熱で高まった体が解放された。

扉の外にいるであろう男性は、ついさっき葛城さんと友人スピーチの打ち合わせをしていたホテルの人だろう。

葛城さんをここに留めてしまい申し訳なく思うのと同時に、いま置かれている状況が信じられず、ただただ頭がぼんやりする。
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