薬指の約束は社内秘で
『運命とかいって、笑える』

葛城さんに助けられ、ホテルで目覚めたあのとき、そう冷たく吐き捨てられた。

私のように心が弱い人間は、自分に都合が悪いことが起きると何か理由を付けて言い訳をしたくなる。

でも、きっと葛城さんは違う。
経営統括室という誰もが憧れる場所に辿り着けたのは、彼の努力と彼が選んだ道が正しかったから。

いまだって、当り前のこと言ったにすぎない。

そう強く感じたのは、彼の後悔のない生き方が強く言葉に表れていたからだ。

時折、彼が私に見せた影を帯びた瞳を、彼の言葉を思い出す。

『他人を信じきって傷ついたり。馬鹿みたいだろ』

ひどく胸が締めつけられて、息苦しくなったことを思い出す。

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