薬指の約束は社内秘で
寂しげなそれが私に別れを告げた時のものと重なって見えて、胸の奥がざわつくような感覚に襲われる。

気のせいかもしれない。だけどずっと気になってて、でも冷たく突き放されて聞けなかったから。

気がついたらあの頃のように、「瑞樹」と彼を呼ぶ自分がいた。
でも何かを問いかける暇もなく、いつもの柔らかい笑みに戻した瑞樹から静かな声が漏れた。


「おかえり。思ったよりも早かったね」

私の背後のある一点。それをまっすぐ見つめる瑞樹の視線を追って振り返る。

半分だけ開かれた扉の向こう側。
ついさっき瑞樹とキスをしていた彼女の気まずそうな顔と、ここにいるはずのない姿に息を呑んだ。

「葛城さん」

思わず呼びかけた声は、自分でも情けないほど掠れてしまう。

明日帰国予定の葛城さんが、どうしているんだろう?

そんな疑問よりも先に、葛城さんの隣に立つ彼女からの探るような瞳に気圧され、2歩後退して瑞樹と距離を取る。

近すぎる瑞樹との距離に誤解されたかもしれない。それは葛城さんも――……
そんな不安が胸を震わせていって、
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