薬指の約束は社内秘で
心に問いかけた言葉。それがYESとばかりに、「藤川」と柔らかく呼ばれる。

ゆっくり振り返った先にある瞳と、見つめ合う一瞬。

熱っぽい瞳がゆっくり斜めに傾いていって――……




「子供っぽいのは、どっちだよ」

からかうような声が頬をくすぐった。

少し前の色気ある掠れた声ではなく、いつもの意地悪毒舌モードな声で。
葛城さんは一呼吸置いてから、私の鼻の頭を人差し指でくいっとなぞり上げた。


「鼻の頭に泡乗せるとか、ずいぶん器用だな」

意地悪な瞳で泡付きの人差し指を向けられ、ガクッなんて効果音つきで膝が折れそうになって
いつもと変わりない涼しげな横顔を恨めしく見つめる。

滑らかに絡み合った指先も、吐息を吹きつけられた耳も、葛城さんに触れられるだけで熱を持ってしまうなんて。

意識しすぎだよね。

でもさっきの食事の話も、ただからかわれただけと思うと、自分でもよく分からないため息が唇から零れた。
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