薬指の約束は社内秘で
そんな私のクサクサした心中を1ミリも察しない葛城さんは、洗い物を終えた私にコーヒーを淹れてくれた。
私のお給料が軽く数ヵ月は飛ぶであろう上質な革張りのソファーで彼が不在中の社内の話をした後で、
葛城さんは背もたれに体を預けながらネクタイを緩め始めた。
葛城さんの長い指先がワイシャツのボタンにかかり、襟元から覗く綺麗な鎖骨をぼんやり見つめる。
男の人なのに、長くて綺麗な指だな。
幼い頃から実家の料理屋の手伝いをしていて、カサつきがちになってしまった自分の手と比べていると、
「藤川」と呼びかけられハッと我に返った。
「悪い。ちょっと電話してくる」
葛城さんは早口でそう告げるとソファーから立ち上がり、スマホを耳に押し当てながら窓際に歩いて行った。
チラリと見えた液晶画面には社内の重役の名前が浮かび上がっていて、
「聞いちゃダメだよね」と思いながらも、室内に漏れ響く声が勝手に耳に流れて込んできた。
私のお給料が軽く数ヵ月は飛ぶであろう上質な革張りのソファーで彼が不在中の社内の話をした後で、
葛城さんは背もたれに体を預けながらネクタイを緩め始めた。
葛城さんの長い指先がワイシャツのボタンにかかり、襟元から覗く綺麗な鎖骨をぼんやり見つめる。
男の人なのに、長くて綺麗な指だな。
幼い頃から実家の料理屋の手伝いをしていて、カサつきがちになってしまった自分の手と比べていると、
「藤川」と呼びかけられハッと我に返った。
「悪い。ちょっと電話してくる」
葛城さんは早口でそう告げるとソファーから立ち上がり、スマホを耳に押し当てながら窓際に歩いて行った。
チラリと見えた液晶画面には社内の重役の名前が浮かび上がっていて、
「聞いちゃダメだよね」と思いながらも、室内に漏れ響く声が勝手に耳に流れて込んできた。