薬指の約束は社内秘で
えぇ、ダメって言ったのは、そっちの意味!?

意地悪な囁きに心でツッコみ、体の奥はキュンッと疼く。

――って! だから、ダメだってば、私!!


「ダッ、ダメ、ですよっ! これ以上は」

自分で言っておきながら『これ以上』の先を想像して顔が熱くなる。
妙に色気を放つ瞳から逃れるように視線を泳がすと、意外すぎる言葉が頬を過ぎていった。


「行けっていうのか? 明日の20時の約束なのに」

「へっ? えっ。明日、ですか?」

「そう。――ったく。人の話は最後まで聞けって、仕事でも言ってるよな?」

「すっ、すみません」

「そそっかしいし、抜けてるんだよな、藤川は。まぁ、そんな顔してるけど」


口角を少しだけ引き上げた意地悪な笑みに、久々に投げつけられた毒舌に、きっと少し前の私だったら新たな呪いをかけてやるところなのに。

あぁ、葛城さんが帰って来たんだなぁ。

なんて、胸がホクホクしちゃう私は、かなり重症だと思う。
< 194 / 432 >

この作品をシェア

pagetop