薬指の約束は社内秘で
でも、この2週間がどれだけ長くて指折り数えて待っていたこと。
せめて声だけでも聞きたくて、電話をかけたい思いを留めるのに必死だったことを葛城さんは知らない。

いつの間に、こんなに好きになっていたのかな?

高い所にある綺麗な顔にそんなことを思う。

私の視線に気づいた葛城さんと見つめあう一瞬。
思わぬ場所での再会からついつい言い忘れていた言葉が、するりと零れ落ちた。


「葛城さん、おかえりなさい」

今更すぎる言葉に葛城さんは瞳を丸くし、少し困ったような笑顔を浮かべてから、一度離した私の背中を抱き寄せる。首筋に顔を埋めた葛城さんが小さく囁いた。

「だから、そんなに煽るな。この2週間、顔を見て言いたかったことが……言えなくなる」

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