薬指の約束は社内秘で
「心配?」

一瞬で近づいた距離。見つめられる瞳の柔らかさに直視できなくて、「それは、まぁ。はい」と膝の上に視線を落として、曖昧に答えるのが精一杯なのに。


「だったら、今日から3食な」

緊張で痺れた頭に1週間前と同じセリフが流れ込む。


「それ、この前も……からかわないでください」

恨めしく訴えると意地悪な笑みを返された。

「無理。俺のストレス解消法だから」


一瞬の迷いもなく返されたソレに、わざとらしいため息をついてやる。

「葛城さんは、ずるいです。いつもそうやって、私ばっかり――」


ドキドキして馬鹿みたい……

さっきから落ち着きのない鼓動がなんだか悔しくて、負けを認めてしまう言葉を喉の奥に留める。二人しかいないリビングに流れる静寂。

葛城さんの静かな声が溶けていった。

「私ばっかりって、本当にそう思ってるのか?」

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