薬指の約束は社内秘で
俯いた顔を引き上げさせた柔らかい声に、少し照れたような瞳に、愛しさが積もっていく。

もしかして、葛城さんも?

心で問いかけた言葉。それに答えるように葛城さんは小さく笑うから……
それだけで胸が締めつけられて身動きが取れずにいると、


「やっと目を逸らさなくなったな。近づくと、すぐに逃げるからな藤川は」

「それは、だって」

何かを言い返そうとする。
けれど優しい色を含んだ瞳に吸い寄せられて声にもならない。

逃れるように顔を背けようとしたら、長い指先にゆっくり頭を引き寄せられて、


「そうやって困った顔して逃げようとする。だけど、もう無理だから……」


射抜くような真剣な瞳に鼓動が一際高鳴る。
いままで一番熱い吐息が頬に触れて、唇が触れ合う瞬間。


「好きだ」

甘い囁きを漏らした唇が息を呑んだ私の唇に柔らかいキスを落とした。

触れるだけでどうしようもなく溢れていく想い……

柔らかく啄むようなキスから心地良く触れ合うキス。

角度を変えながら徐々に深みを増していく。

呼吸が苦しくなるタイミングで引き離されたら優しく肩を抱かれる。
首筋に顔を埋めた葛城さんが小さく呟いた。


「やっと言えた」

照れくさそうな声。
胸が痛いくらいに震えて自分から求めるように彼の背中に手を回すと、抱き合いながらソファーに倒れ込んだ。
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