薬指の約束は社内秘で
「よぅ、ヒロちゃん! 今日は19時からでよかったんだよな?」

おじさんの呼びかけに、「おう!」とお父さんはニンマリ笑い、青地で和風柄のバンダナを頭にキュッと巻きつける。

「金ちゃんだけに遅刻はゲンキン、なーんちゃってな!!」

「ははっ。ヒロちゃん今日も冴えてるな! なぁ、二人もそう思うよな?」

今年還暦を迎える父親の寒すぎるオヤジギャグは、地球温暖化には優しいけれど、本気で笑えない。

顔を見合わせる私と大地に、おじさんは満面の笑みを向けてきた。

「それにしても。愛ちゃんも、もう26歳かぁ。今日はみんなで盛大にお祝いするからな!」

ポンッと肩を叩かれて首を傾げる。

みんなで? 盛大に?? お祝い???

いったい何のことだと隣にいる大地に視線を流す。
< 309 / 432 >

この作品をシェア

pagetop