薬指の約束は社内秘で
「親父の奴。張り切って配ってた」

大地はジーンズのポケットから4つ折りのチラシのようなもの取り出す。
差し出されたそれには見慣れた達筆で、とんでもないことが書かれていた。

緊急回覧 藤川 愛 バースデーパーティーのお知らせ

日 時 : 本日 午後19:00〜気の済むまでOK!
場 所 : 和風居酒屋『高良』
会 費 : 気持ち程度でOK!
企 画 : 町内会会長 藤川 浩

藤川愛の生誕をみんなで祝おう!


そのあとにも、細かく説明書きがあったけれど、そこまで読んでくらくらしてきた。

「まさか、これ……」

「道行く人全員に配ってたぞ」

へらっと頬を緩ませる大地にわざとらしいため息をついてやる。

「じゃあ、ヒロちゃん後でな!」とおじさんが立ち去ってから、お父さんの肩を鷲掴みにした。

「ちょっとこれ、どういうこと? 私、全然聞いてないよ!!」

「驚いただろ? お前こういうサプライズ、昔から大好きだったもんなぁー」

少し天然気がある彼とは、時々会話が成り立たない。

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