薬指の約束は社内秘で
ずっと我慢していた涙が溢れそうになった。


「瑞樹、どうして?」

涙は堪えたものの、喉の震えは誤魔化せなかったかもしれない。
「うん」とだけ頷いた瑞樹は、懐中電灯を消してから隣に腰掛けた。

「大地君が教えてくれて、これも貸してくれた」

膝に置いた懐中電灯を掲げた瑞樹は、長い足を私の方へ組み返しながら続けた。


「実はさ、お盆は毎年家族で過ごすって愛が言ってたの思い出して。誕生日だし優生と帰って来てるんじゃないかって思ったんだよね。もしかして、遅れて来るとか?」

顔を覗き込まれ、首を横に振った。

「あぁ、仕事? お盆だってのに社長にこき使われてんだぁ」

満天の星が輝く夜空よりずっと暗い私を気遣うように、瑞樹が声を張る。
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