薬指の約束は社内秘で
「嘘……だよ」

乾いた唇からやっと出てきた言葉を心で反芻する。

嘘に決まってる。だって、どうして? どうして葛城さんが? 
どうして、瑞樹と出会ったあの場所にいるの?

彼らが言う絶景スポットは町を見下ろす展望台から少し林道を歩いた場所にある。
そこへの道は案内板もなく地元の人間しか滅多に足を踏み入れない隠れスポットなのに。

信じられない想いが頭を過り、震える唇を両手で押さえつける。

すがるような想いで瑞樹の背中を見つめると、不意に彼が振り返る。
何かを訴えるような瞳が私を見つめて、静かな声が耳に届いた。


「ごめん」

切なげに歪んだ顏が言葉よりも饒舌に真実を伝える。

痺れ出すこめかみを右手で押さえつけると不意に静かな声が耳を過ぎった。
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