薬指の約束は社内秘で


夏の生ぬるい夜風が頬を撫でつける。
脱げそうになるサンダルで必死に前へ足を運んでいると展望台に辿り着いた。

駐車場の北側にある細い林道を奥へと進んで、サンダルで歩くにはきつい獣道を抜けると開けた草地が現れた。
夜空に浮かぶ満天の星と冷たい山風が疲れた身体を癒してくれる。


でも、ベンチすらないだだっ広い草地には、肩を寄せ合う1組のカップルがいるだけで、葛城さんの姿はなかった。


もう帰っちゃったのかもしれない。

そう思いながらもどこまでも諦めの悪い私は、月明かりの下待ち続けること30分。

「やっぱり。帰っちゃったよね。いいかげん帰ろ……」

寂しく呟いてみるけれど、返ってくる返事はない。
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