薬指の約束は社内秘で
頬を少しつねってみた。普通に痛かった。

「なにしてんだ?」

高いところから呆れた声が落ちてくる。でも、思いっきりつねってみたら涙目になった。

「やめろ、バカ!」

容赦ない厳しい口調で手を払われて、この状況が夢ではなく現実だとやっと実感できた。


「だって、こんなところで葛城さんに会うなんて、夢か、幽霊かと思って」

「人を勝手にコロスな」

「すみません……でもっ、すごい偶然ですね! あはっ、あははははー!!」


望んでいたことが現実になった。
ここで会えたら奇跡だって思っていたのに、まだどこか信じられなくて、腰が抜けたように立ち上がれない私の腕が強く引かれる。
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