薬指の約束は社内秘で
葛城さんに支えられなんとか立ち上がると、彼は車の後部座席のドアを開き、見覚えのあるスニーカーを取り出した。

「ほら。これ、履いとけ」

「あっ。それ、私の!」

あぁ、そっか。買い物用のスニーカーがないと思ったら、葛城さんのマンションに置いたままだったんだ。


「ごめんなさい。すっかり忘れてました」

ゴムが取れたサンダルから手渡されたスニーカーに履き替えて立ち上がると、「履けたんなら、行くぞ」と言った彼に左手を取られた。


「えっ。ちょっ——!」


さすがにそれは、愛美に悪い。 

振り解こうとするのに、掴まれた手は固く指を絡めながら痛いくらい握り返される。
そのまま無言で歩き出す彼に、「どこに行くの?」とは、聞かない。
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