薬指の約束は社内秘で
その瞬間、記憶に掛けられたヴェールを拭い去るように、空に瞬く星が夜空を駆けて抜けていった——


あの日誕生日を忘れられたことにショックだった私は、たった1人で山奥にある絶景スポットまで足を運んだ。

『流れ星の神様にお願いすると、なんでもお願いを叶えてくれるんだって!』

クラスの誰かが言っていたその言葉を信じて。
まだ1度も見たことのない流れ星に、あるお願いをするために。

満天の星で飾られた明るい夜空を仰ぎ、数時間が過ぎた頃。
待ち望んでいた、その瞬間がやってきた。

でも、あまりにも一瞬でお願いなんて出来るわけない。
膝を抱えて泣きじゃくっていたら、「どうしたの?」と暗闇から声がかかる。

顔をあげると絵本から抜け出たみたいに綺麗な顔をした男の子が、隣にちょこんと座っていた。
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