薬指の約束は社内秘で
その態度にムカっときた私は、『このやろっ、飲め!』と男の子の口を押さえて、無理矢理お茶を飲ませてしまった。

『げほっ! くっ、苦し——』

『うわぁぁー、ごめんね!』

お茶が気管に入ったらしく苦しそうな背中をさすりながら、どうしてようとオロオロしていた私の手が、ギュッと強い力で掴まれる。

『大丈…夫っだよっ』

苦しそうに咳きこみながらも見せてくれた笑顔はやっぱり天使みたいに愛らしくて、全力でかけっこした後みたいに、心臓が激しく脈を打った。

日焼けの知らない真っ白な肌、意志の強そうな瞳。

あの子は――……



「あのときの――男の子は、葛城さんなの?」

抱き寄せる腕を少し緩めた葛城さんを見上げながら問いかける。
静かな瞳で私を見下ろした彼が、「あぁ」と小さく笑った。
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