薬指の約束は社内秘で
月明かりに照らされたその笑顔を見た瞬間、目の奥が熱くなり視界がぼんやりと滲んでいく。


「いつ、気づいたんですか?」

「再会して、すぐにわかった。藤川、全然変わってなかったから。すぐむきになるとことか。こうやって、すぐ泣くとことか」

葛城さんはからかうように言いながら、そっと涙を指で拭ってくれる。


「どうして、教えてくれなかったんですか? 私、ずっと瑞樹だって思ってて」

「忘れない約束をしたのは俺だけだったし。それに……藤川が瑞樹との思い出を大事にしてるって分かったから」

「そんなっ——」

だったら、葛城さんの想いはどこへ行くの?

心の問いかけは、胸がひどく震えて声にもならない。
唇を噛み締めて俯くと、「でも」と葛城さんは小さく呟いて、背中に回った彼の腕がそっと私の体を抱き寄せた。
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