薬指の約束は社内秘で
「やっぱり、直感は間違ってなかったな」

「えっ?」

「もう遅いから、帰りながら話そう」

葛城さんはそう言って私の手を取るとゆっくり歩き始める。
私の歩調に合わせながら歩く彼は、私達が出会ったあの日のことを語り始めた。


幼い頃から英才教育を施されていた葛城さんは、全国でもトップクラスの名門小学校へ通うことになった。

「入学後の初めてのテストで学年トップになった。その時は単純に嬉しかった。
でも、その次のテストでも一番を取ったら、だんだんクラスメートに無視されるようになった。

テストの後にそんなことが続いて話す相手がいなくなった頃、ようやく気付いた」

そこまで話した彼の言葉が止まる。
淡い月の光に照らされた横顔が寂しげに歪んでいった。
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