薬指の約束は社内秘で
そこで言葉を止めた葛城さんは、少し照れくさそうに笑ってから話を続けた。


夏休み。小学校の課外授業でこの町にやって来た葛城さんは、透きとおった川、道路を横切る蛙に驚いた。
普段の生活で触れることのない緑に囲まれた世界。そのすべてが新鮮に映り、心を高ぶらせたという。


『幸せになれる四葉のクローバーをみんなで探しましょう!』

展望台近くの野原で昼ご飯を食べた後。
急に思いついたかのような教師の掛け声で、四葉のクローバー探し大会が始まった。


野原いっぱいの緑の絨毯の上でクローバーを一番必死になって探しているのは、葛城さんがテストで1位なった時に、最初に離れていったクラスメートだった。

その子の背中をじっと見つめていた葛城さんは、自分の為じゃなくその子の為に探そうと思った。
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