薬指の約束は社内秘で
勢いそのままにドアノブに手を掛けてドアを開くと、玄関先に手を付いてうな垂れていた愛美が驚いたように顔を上げた。

「愛美が私にしたこと、簡単には許せないよ」

「別にっ。許してもらおうなんて、思ってないわよっ!」


鼻声で言い返す愛美は泣いていたのだと思う。
でも彼女を見下ろしたまま言ってやった。


「愛美はずるい。いつも八方美人でいい顔して、心では汚いことばかり思って。結局ただの八つ当たりじゃないっ」


玄関に響くほどの声で言い放つと少し怯んだように彼女の瞳が揺れ動く。


「佐々木先輩のことだって、別に私から頼んだわけじゃない。それなのに勝手に傷ついてバカみたい。

あぁ、そうか。どうせ、私が好きになっても上手くいかないって分かってたもんね。

同情して憐れんで、気持ちよかったでしょ? そうやっていつも上から目線で、私のこと笑ってたんだっ」
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