薬指の約束は社内秘で
「それがすべてだよ。何か言いたいことあるなら、聞いてあげる。でも悪いけど、少しも後悔なんてしてないし、謝る気もないからっ」

愛美は吐き捨てるように言って私に背を向けた。
そんな彼女を見ていたら熱くなった頭も冷めていき、涙で濡れた頬だけがヒリヒリと痛んだ。

言いたいことは、たくさんあった。

だけど言葉にしようとすると、愛美と過ごした楽しかった日々が鮮やかな色彩を持って脳裏に蘇り、喉が震えて声にもならない。


「言いたいこともないなら、もう帰って」

強く言い放った愛美に腕を取られ、玄関に追いやられる。
スニーカーを履いて旅行バッグを肩に掛けたとき一度振り返ったけれど、彼女はこちらを見ようともしなかった。


バタンッとドアの閉まる音がやけに重く胸に響くと、ドクンッと震え出す鼓動が何かを強く訴えかける。

このまま帰る? 冗談じゃない。帰れるわけないじゃないっ。
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