薬指の約束は社内秘で
「どこにいるか教えろよ」

「え?」

「ものすごーく心が広くて純粋な、俺の彼女」

「しっ、知らないですよ。どこにいるんですか!?」

余裕げな顔で顔を斜めに傾ける仕草に腹が立つ。
でも近すぎる距離に鼓動が勝手に加速して、反撃できる状態じゃぁない。

いまだって声が裏返りそうになるのを堪えるのに必死だっていうのに、彼は探るような瞳で壁に手をつき、また少し距離を縮めてくる。

「自分で言っておいて分からないのか?」

なにを言ってるんだ、この人は? 愛する人を忘れたとでもいうつもり!?

毒舌に付き合える奇特な彼女がいるっていうのに。
葛城ファンがやられたら瞬殺されるであろう挑発的な態度に、ようやく鼓動も冷静さを取り戻す。

平社員という立場も忘れ、きつく言い返してやろうと心に決めると、ふっと鼻で笑われる。
意外すぎる言葉が熱くなった頬を掠めていった。

「あのホテルは接待や商談でよく使ってるだけなんだけど?」
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