薬指の約束は社内秘で
「そっか、馬鹿だな俺。俺達、もっと話し合えたらよかったのかな」

寂しげな声に静かに瞳を伏せる。


今回の愛美のことで思った。

どんなに語り合っても、どんなに相手と向き合ってるつもりでも。
そのすべてを知ることなんて、きっとできない。


だからこそ私達はちゃんと向き合って、たくさんのことを話さなければならなかった。

それが出来ていたら、私達はもしかしたら――……。

心の呟きをそのまま胸に閉じ込めて、ゆっくりと瞳を開く。
さっきよりも強まった雨風が車窓を叩きつけ、薄く開いた瞳の先に雨雲の中に消えていく飛行機が小さく見えた。


瑞樹が乗る飛行機が葛城さんものと同じかどうかは、彼には分からないという。

空港に着いてすぐ、フライトの掲示板へと駆け寄っていくと、「藤川さん」と呼び止められる。
聞き慣れた女性の声に振り返ると仙道さんの姿があった。

その隣にいる彼の姿に胸が大きく震えた。

「葛城さん…」
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