薬指の約束は社内秘で
触れ合うだけで不安な心が解かれて温かい気持ちになれる。

息継ぎの度に見つめ合って、また触れ合って。
肩から腰へと伝い落ちるシャワーの飛沫よりも熱いキスを重ねる。


彼の右手が髪に差し入り、空いている左手は強く腰を引き寄せて。

何も入り込む隙間もないほど抱き抱き合いながら、深みを増していくキスに酔いしれていると、不意に幸せの熱で高められた体が解放されて唇が名残惜しげに離れていく。


腕の力を緩めた葛城さんは切なげな瞳で私を見つめた。

「藤川の友達が後悔してるのは分かってた。だから、藤川が彼女を信じたいって思うなら、このまま真実を隠した方がいいのかもしれない——そう思った」

暗い影を落とす瞳を見つめながら思う。


言葉はすごく難しいのだと。
伝え方ひとつ、受け止め方ひとつで、こんなにすれ違ってしまう。
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