薬指の約束は社内秘で
自分の想いに蓋をしてまで守ろうとしてくれた優しさに目の奥が熱くなる。
私を見下ろす瞳に優しい色が差すと、彼は小さく笑ってから話を続けた。


「経営統括室で働くようになってすぐに、新車プロジェクトのプレゼン資料にあった藤川の名前に驚いた。きっと動揺してたんだろうな。

ちょうどそのとき、ドイツから来てた麗華に聞かれたよ、知り合いなのかって。
そのときは誤魔化したけど、実は藤川が婚活バーにいたあの日。俺も、あの店にいたんだ……」

葛城さんの告白に、目を丸くして驚いた顔をしてみせる。
実はこの話は、ついさっき東京駅で別れる前に、仙道さんがこっそり教えてくれていた。


葛城さんに想いを伝えたい。
でも、彼を信じきれなかった私の気持ちは受け入れて貰えるんだろうか。

そんな不安を抱えていた私の背中を強く押してくれた、仙道さんの話。
それは、あの婚活バーに葛城さんと仙道さんがいたという驚きの事実だった。

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