薬指の約束は社内秘で
仙道さんはそこまで話すといたずらっぽく笑う。
形のいい唇の上に人差し指を添えてから、声を潜めながら続けた。

『今の話、私が話したってことは内緒ね? だって上司の秘密をバラしたことが知れたら、私クビになっちゃうから』

葛城さんの話は、仙道さんから聞いたものとほぼ同じだった。


男から愛美の話を聞いて、『落とし前をつけろ!』と強く出た仙道さんと酔いつぶれた私をホテルに残して、葛城さんは男と二人で愛美のマンションに話をしに行ってくれたらしい。

そう。あの日、葛城さんが言っていた『ツレ』とは仙道さんのことだった。
優しく見守ってくれていた二人の存在に、じんわり胸が温かくなる。


あの日、葛城さんが私を助けてくれたのは偶然だと思ってた。でも、それも違っていた。

自分にとって都合のいい奇跡や偶然なんて、そんなにはないのかもしれない。
きっとそれは、すべてどこかで繋がっている。

そんな当たり前のことが嬉しい。それがすごく嬉しいと思った。

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