薬指の約束は社内秘で
本編完結の翌日。

「愛……」

柔らかい声が頬に落ちて、薄く開いた瞳に細い光を受けた。

「おはよ」

腕枕をしてくれていた優生の腕にそのまま引き寄せられて、軽く啄むような『おはようのキス』を何度か重ねる。

いつもはそのまま深いキスへ変わるのに、彼の柔らかい唇はそれだけで離れてしまう。

少しだけ残念に思いながらベッドサイドの時計に視線を流すと、早朝町内パトロールが日課のお父さんぐらいしか、起床していないであろう日の出の時刻だった。

チェックアウトまであと何時間もあるし。もう少し寝ててもいいよね?

そんな視線をチラリと優生に向けたら、下着だけつけて寝てしまっていた体が毛布にふわりとくるまれる。膝の裏に回った腕が軽々と私の体を抱き上げた。

私より先に目覚めた優生は、シャワーでも浴びたのかバスローブ姿ではあるけれど、半分ほど窓が開いたバルコニーに足を運ぶ彼に息を呑んだ。

「えっ、優生!?」

ちょっと、まだ毛布の下は下着姿だってば!

そんな戸惑いを込めた声を上げるのに、広いバルコニーの椅子にゆったり腰掛けた優生は、私を自分の膝の上に降ろして離そうとしない。
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