薬指の約束は社内秘で
それは、嘘。『愛してる』という言葉でなくても、優生の想いは全部伝わってる。
でも、聞きたい。何度でも聞かせてほしい。

それで私は、もっと強くなれる気がするから――。

そんな想いを乗せた瞳を優生に向けると、ふっと口元を綻ばせた彼が意地悪に笑う。
膝の上に載せた私の体が優しく引き寄せられると、コツンとぶつかりあう額。

「もう一度聞きたいなら……これからもずっと、俺の手の届くところにいること。約束な?」

幸せの笑みで綻んだ唇に、優しいキスが落ちてきた。



今日私たちは、またひとつ深い繋がりを持つことができた。

いままでがそうであったように、これから先もささいなことでぶつかることがあるかもしれない。

だからこそ思う。

たとえば、見つめあって、名前を呼び合えることを。
薬指にあるエンゲージリングの感触に、幸せを感じるように。

日常にあるささやかな幸せをいつも感じながら、いまを大切にして明日へと繋げていきたい。


【本編完結】
あとがきと番外編「婚約者編」については次のページへ。
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