薬指の約束は社内秘で
会社では一瞬の隙すら見せない切れ長の瞳が柔らかい弧を描き、思わず引き寄せられる優しい眼差しが私を見つめた。

素直な想いを吐き出してくれた彼に言いようのない愛しさが溢れ出て、もっと聞いていたいのに彼の告白を止めるように体を思いっきり捻り、自分から唇を重ねていた。

不意打ちのキスに優生の瞳が驚いたように丸くなると、それを見ながらそっとまぶたを閉じる。

柔らかいキスは角度を変える度に愛しさが積もるようで、今の状況も忘れて長く触れ合って毛布がはだけそうになるところで、長いキスはようやく終わりを告げた。

名残惜しげに瞳を開くと私を見下ろす瞳が困ったように細くなる。

「だから、そんなに煽るな。こんな朝っぱらから誰も見てないと思うけど、死ぬほど恥ずかしいことしたくなるだろ?」

軽く触れるだけのキスを返されると、それだけで胸がどうしようもなくまぶたの裏が熱くなる。そんな私の想いを彼は簡単に見透かしてしまうから。

「なんで、泣く?」

「だって……」

嬉しいから。でもそれは、まだ教えてあげない。

「どうした?」

心配している瞳が愛おしくて、どんどん欲張りになってしまう。

「昨日の言葉。もう一度聞かせて? そうじゃないと、まだ分かんないよ」
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