叙情
「総ちゃん、家戻らないの?」

「親父が怪しんでるしな・・」

「・・寂しいよ。
少しの時間しか総ちゃんと一緒にいれないんだもん・・・」

「・・・ごめんな?」


着替え終わっても
出るに出らない会話と状況が続く中


携帯の呼び出し音と共に
女性の声が聞こえた。


「もしもし?あなた?
え?えぇ・・・ちょっとお腹がすいたものだから
コンビニの方に・・・
え?あ・・・そうなの?
じゃあ、急いで帰りますね。
はい」


「親父、もう帰って来たんだ?」


「みたい・・・」


「怪しんでんのかもな・・・」


「・・・・・・」


「ほら、早く帰れっ」


「うん・・・・
また・・電話するから」


「あぁ、気をつけて帰れよ」


「うん、総ちゃん
おやすみなさい」


「おやすみ」


何だか・・・・

知ってはいけない事を知ってしまったような気がするわけで・・・

胸の奥のズンと重い感情も
どう処理したらいいか分からないわけで・・・









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