叙情
私は、何も言う事ができず
ただ・・・男の方をじっと見ている。


そんな私に、


「ガキにこんな事言っても
どうしようもねぇか・・はは・・」


そう言いながら体を起こすと


大きくため息をつき
少し笑みを浮かべたような表情で
私の方に目を向け


「ガキは?」


そう私に問いかけてきた。


「へ?な、何が?」


「ガキは何で家出してぇんだ?」


「それは・・・・」


「俺の秘密聞いたんだから
ガキも言えよ」


っていうか・・・
自分から話したんじゃん・・・



月明かりで薄っすらと見える男の顔を見上げ


「お母さんの彼氏が一緒に住んでるから・・」


「何?何かされたとか?
ヤラれた?」


ほんと、この男には
デリカシーというものがないのだろうか。
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