On Your Marks…~君と共に~






「……おにぃちゃん…泣いているの?」



「……え?……っ!」



いつの間にか頬には涙が零れ落ちてきていた。



…な、なんで…。




「いたいいいたいのー……とんでけーっ!」



いきなり、澪が俺の頭を触って、そんなことを言い出した。



俺は軽く涙を拭って、顔をあげると、澪のキョトンとした顔がそこにはあった。




「おにぃちゃん、いたいいいたいの治った?」



そうか…澪は、俺が泣いたのはどこか痛いからと勘違いしたのか……。



「ああ、治ったよ。さんきゅうな。」



俺はそういってから、ゆっくりと立ち上がった。



もう…歩き出さなきゃな…



「おにぃちゃん、もう行っちゃうの?」



そういって、少しさびしそうな目をする澪。



< 194 / 362 >

この作品をシェア

pagetop