platonic love




卒業式に、先輩の姿はなかった。



『…先輩来るかなぁ』

「どうだろうねぇ」

『なんで卒業式も来ないの!?』

「優くんらしいよね」

『…そうだけどさぁ』


帰りのホームルームが終わって、あたしはサキと教室の窓の外を見ている。

もうやだぁ。


「あーー!瞳!」

「優くん来たよっ!!」

サキの言葉を聞いて、窓にへばりつくように外を見ると、金色の髪の神崎先輩と、オレンジ色の髪の先輩が二人で下駄箱へと歩いている。



『いってくる!!」




3年生の廊下へ向かって、階段を駆け下りる。


ー長い1年だった。

あたしは先輩に恋をしてよかった。
色んなことがあったけど、先輩と出逢ったことを後悔したことは一度もない。

初恋は苦くて。だけど、甘くて幸せ。


まるであの日くれた、リプトンのアップルティー。

あれは、あたしの初恋の味。



去年の夏教えてもらったメールアドレスは、もう変わっていて送れなくなっていた。プリクラ帳の裏に書いておいた電話番号も、使われていない。

だけど思い出は、ずっと消えない。


階段を駆け下りるあたしの耳には、ジャラジャラとピアスが揺れる。


こんな小さな街で
見つけた最愛

あたしは、絶対忘れたくない




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