platonic love
『神崎先輩っ!!』
息を切らせながら廊下を走るあたしを見て、教室の前の廊下に座っていた先輩は呆れたように笑った。
「どうした?」
『…来ないかと思った』
「出るなって言われたんだよ」
『…そうなんですか』
「これから俺らだけの卒業式やってくれるってさ」
『…よかったです。…先輩、最後のお願い。…あたしに第2ボタン下さい』
「悪い」
『…』
「彼女にやるから第2ボタンはあげれない。でも、代わりに別のボタンなら、あげれる」
『…うん。ありがとう…ございます』
涙で声が出ない。
第2ボタンがもらえないのは悲しいけど、でも他のボタンでも何でもよかった。
先輩が卒業していくことが悲しくて、手のひらにある金のボタンを握り締めると、もう涙を止めることができない。
『…卒業おめでとうございます。
今まで…本当にお世話になりました。
ありがとう…ございました…』
だけど、笑って。
泣きながら笑うあたしを見て、先輩は最後まで笑っていた。
…ばいばい、神崎先輩。
あたしじゃ付き合えなかった。
どれだけ想っても、あたしの想いは叶わなかった。届かなかった。
だけど、悲しくなんかない。
新しい扉を開くとき、
あなたの中に、あたしがいたら嬉しい。