身代わり王子にご用心



カイ王子が夜に、我が家に来ていた?


どうして?

「……カイ王子が、なぜ?」

「それは分からない。少なくとも、季節は夏限定だと思ったけど。カイ王子がお姉ちゃんの部屋へ行って、少ししてから帰ったみたい」


これもお母さん情報だけど、と桜花は教えてくれた。


「私がカイ王子について知ってるのはこれくらい。
だからさ、お姉ちゃん。後はカイ王子に直接訊いてみなよ」

「……」

「あれこれ勝手な想像してうじうじ悩むより、きちんと訊いてさっぱりした方が気が楽でしょ? もしも当たって砕けたら、私が欠片を拾ってあげるからさ」


ね? と首を傾げる仕草は、幼い時から変わらない。これに弱いんだ……私は。ダメ姉の典型的パターンだ。


「う……そう、かなあ」

「うん、絶対そう。未来情報だと、28日に来店するんでしょう。そのチャンスをものにしなきゃ!」


桜花は目をキラキラ輝かせてる。そんなに期待に満ちた目をしないで下され。


「今年はうるう年だから、29日にカイ王子は自分の国に帰っちゃうんでしょう。
そうしたら、もう会えないかもしれないんだよ。お姉ちゃんはそれでいいの?」


つい最近、藤沢さんにも同じことを訊かれたけれど。


誰に訊かれたって、答えは変わらない。


「うん……私は会いたい。カイ王子に……会うよ。ダメだと思うけど、自分の気持ちをちゃんと伝えようと思う」


もう二度と会えないかもしれないならば、自分の口で伝えた答えを自分の耳で聞いて、きっぱりと決着をつけよう。


きっと最初で最後だろう私の恋の結末を、見届けるために。


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