【完】クールな君に胸キュン中!
人に嫌われても、平気だと思ってた。
だけど、この子には嫌われたくなかった。
だから、過去のことを話したくなかった。知られたくなかった。
『桐谷くんを嫌いになんて、なるわけない……!』
『桐谷くんに、これでもかってくらい惚れてるから!
好きだから!大しゅきだから!!』
涙が出そうだった。
俺はただ、その言葉が欲しかっただけなのかもしれない。
人を傷つけることしかできない俺を、こんな、どうしようもない俺のことを、好きだって……好きだなんて……真っ直ぐに、目を逸らさずに言ってくれる彼女のことを、俺はもう一度、信じてもいいだろうか?
…… ああ、違う。
もうすでに信じていたんだ。
それを証拠に、俺はもう彼女に過去のことを打ち明けている。
彼女は今、俺の目の前で……俺の話を真剣に、ひとつひとつ、取りこぼさないように、涙を流しながら聞いてくれていた。