【完】クールな君に胸キュン中!
「そんなの当たり前だろ?
今まであんた、俺に信用されるようなことした覚えある?」
「あるような……ないような……」
「ない」
キッパリと言い切られてしまった。
「……だから、これからあんたは、俺を信用させる義務があるんじゃないの?」
そう言って、桐谷くんはあたしの手からふたつのカバンを取る。
一気に軽くなった手と、そして心。
「それなりに俺の言うこと聞いてくれたら……
あんたのこと、信じてあげてもいいよ」
「っ!」
彼はやっぱり、優しいです。
「……はい!」
あたしは大きく頷いた。
軽やかな気分で、隣にいる彼にくっつき寄り添う。
心臓がドキドキと音をたててるのは、やっぱりクールな彼が好きって証。
荷物持ちだけど、荷物持ちじゃない。
桐谷くんはあたしを、ちゃんと折原奈乃というひとりの人として、見てくれてる。
……だから、大好きなの。