庭師とお姫様 (naturally番外編)
侵入者は目元だけがくり貫かれた覆面から、ベッドの淵に座るミリザ姫をじっと見据える。


姫が侵入者の存在に瞠目したのは一瞬。



「斬りたければ斬ってください」



侵入者を一瞥して、目を伏せた彼女が発した言葉は不自然なくらい冷静で。
目の前の侵入者は手にしていた短刀を、静かに腰元の鞘に収めた。



「何故?」



月明かりに照らされた横顔の悲しさは、決してこのまま殺されてしまうかもしれないことを嘆いてるワケではない。



「私は明日、人質同然で長く冷戦状態の続いた国へと嫁ぐ身です。この先、私の心は死んだのと同じ……」



ポツポツと呟いていくミリザ姫はベッドの淵から立ち上がり、自ら侵入者の方へと歩みを寄せていく。



「でしたら、せめて……貴方の手にかかって死んでしまいたい」




手を伸ばせば届いてしまうような距離まで自ら歩み寄ったミリザ姫は、そのまま侵入者の目をじっと見上げた。


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