庭師とお姫様 (naturally番外編)
「私を救ってください……庭師さん」
侵入者の懐にミリザ姫は、雪崩れ込むように勢いよく飛び込んだ。
厚い胸板に顔を寄せると、昼間と同じ日溜まりのような匂いがかすかに鼻をくすぐる。
一瞬、侵入者は体を強張らせたものの。
そのまま胸元にすがり付く姫をギュッと抱きすくめた。
「俺だってわかってたんですね」
侵入者の正体が彼だということに、かなり早い段階で気付いていたことが姫の言動から窺い知れる。
「例え隠していたって貴方の声も瞳も……私にはすぐにわかります」
胸元から顔を上げた姫はそのままゆっくりと、彼の顔へと手を伸ばす。
覆面の隙間に指を掛けて引っ張ると、隠されていた部分が露になった。
ここ数日ですっかり見慣れた顔が、困惑したような表情でミリザ姫を見つめている。
「……本当は何も告げずにここから去るつもりでした。けど、昼間に見た貴女の涙が忘れられず……未練がましくここまで来てしまいました」
覆面に掛かったミリザ姫の手を取り、彼はそのまま足元に片方の膝を折った。