夢見るきみへ、愛を込めて。
司さんなら、忘れずにいてくれると思っていた。つらくても、残されたあたたかさと一緒に、想い続けてくれると思っていた。
教えてほしい。どうしてみんな、季節がめぐるたび大切なものを、別のものに置き換えられるの。
「そうか……。見てないんだな。3年間、ずっと」
向けられた一層物憂げな瞳に、どうしてか、微笑む自分がいた。
「見たよ。ちっとも趣味じゃない真っ白な洋室で、3年前と変わらない姿のまま、ハルを呼ぶ夢なら」
もう一度逢いたいと願って、願い続けて、3年ぶりに見た夢が、そんな荒唐無稽なもの。
「――……灯」
「へんてこで、素敵な夢でしょう?」
左目から零れた涙のあとを、吹き付ける夜風が無かったことにする。
哀れみを表情に託す司さんは知っているようで、知らないのだ。“私”がどれだけ特別視されようと、それが羨望でもなければ、崇拝でもないことを。
「私にあるのは、誰かを救うための力じゃない」
産まれたときからずっと。命が限りあるものであると理解していなかったころから。私は夢の中で、大切な人の最期を誰より早く看取っていた。
「私は、少しでも関わった人の数日先から数カ月先の未来を夢で垣間見るだけなんだって、知ってるでしょ!?」
それでどうやって、人探しなんて頼もうと思ったんだろう。こんなちっぽけなものが、なんの役に立つというんだろう。
この力ごと愛してくれたいっくんを守れなかった時点で、憎らしくてたまらないのに。